こんにちは!
リサモリです(^∀^)
以前、ブログに書いたAmazonで
めちゃくちゃ高値のついている
アランセーターの本
アイルランド/アランセーターの伝説
野沢弥市朗さん著
のCD‐ROM版を500円で購入しました(^∀^)
※今はAmazonだと最高値で約90万円😂ウソー笑
とても面白い本だったので
ご紹介します!
アランセーターの匂い問題
著者の野沢さんは、元々イギリス紳士服の
お店をされていて
ひょんなことから、アランセーターを
日本で普及させる第一人者になった方です。
※メールでCD‐ROMを注文した時に
ご本人からご丁寧な返信いただき、
嬉しかったです(∩∀`*)
野沢さんが日本でアランセーターを
普及させるきっかけとなったのが
アランセーターを世界に広めようと
伝道師をしていた
パドレイグ・オショコンさんとの
出会いでした。
以前アランのイニシュモア島に行った時に撮ったロバちゃん❤️
パドレイグさんは1952年に初めて
アメリカにアランセーターを輸出しました。
しかしそれは商品化したものではなく
現地で普通に編まれていたものだったので
臭いしサイズもバラバラで
一個も売れませんでした。
手がベタベタになるくらい脂ギッシュだそうです
当時のアランの人たちが編んでいた
セーターの毛糸は
未脱脂、そして洗ってない羊毛を紡いだ
毛糸だから獣臭さがひどかったようです。
※古くからアランでも脱脂と洗浄を
行ってはいたそうですが、
家族の尿を溜め、アンモニアの作用を利用して
羊毛を洗っていたそうです…
ワイルド…🙄
NHK世界手芸紀行①より 未脱脂の原毛
※以前読んだ、イギリスのフェア島のフェアアイルの毛糸も未脱脂でした。
本当に漁師が海で着る場合の
フィッシャーマンセーターとしては
未脱脂の方が水を通さなくていいようです🐟
商品化する
1957年にアランセーターの標準化のために
パドレイグさんは
アラン諸島の小さな2つの島で
編み手を集めました。
そして毛糸をドリパシーウーレンミルズで買い付けることにしました。
(ちゃんと洗って脱脂もされてるもの)
私はケリーウーレンミルズという会社の毛糸を買いましたが、めっちゃ名前似てるけど全然違う会社のようです😂
島の人たちは小枝とか鳥の羽で
編んでる人もいたので
サイズを揃えるために
編み棒も提供したそうです。
(鳥の羽で編めるんだ🙄)
丸首であることやおおまかなサイズの指定は
あったけど、模様は自由!
編み手に支払われる編み賃は
従量課金制だったので
1枚あたり重い方が
たくさんお金がもらえるから、
凝った柄にして使う毛糸量を増やして
重さを出していたそうです😁
私の編んだセーターはいくらかしら☺️
世界へ羽ばたくアランセーター
1950年代、パリの有名デザイナーたちは
アイルランドのファッションアイテムに
アイディアソースとして興味を持ち、
パリに次々と紹介されました🇫🇷
1950年代のパリの女性。めっちゃカッコいい😍
Paris 1950s. pic.twitter.com/WLJdzISMfG
— 🏛Architectolder (@Architectolder) 2021年6月19日
ディオールはアイルランドの
ハンドニットに注目し
1956年にパドレイグさんにもカシミアで編んだ
アランセーターを特注したそうです!
徐々にアランセーターに追い風が吹いていきました。
同じ頃、ニューヨーク🗽の売れない役者だった
アイルランド出身のクランシーブラザーズが
4人組を結成してアイルランドの
フォーク音楽を歌い始めました。
ある寒い年にクランシーブラザーズの
お母さんが
ニューヨークは寒いって聞いたからと
アランセーターを編んで
兄弟に送って来たそうです。
マネージャーがそれを見て、
トレードマークになると閃き💡
それ以来、ステージユニフォームを
アランセーターにしました。
クランシーブラザーズ
それが大当たりして知名度がうなぎのぼり!
彼らは1961年のエド・サリバンショーに
出演しました。
当時視聴率70%超えと言われていた人気番組で
クランシーズの着てるあのセーターが欲しい!😆
とアランセーターが一気に全米に広まったそうです😆
エド・サリバンショーに出た時の動画がYouTubeにありました!
そうした黄金期を迎え
1960年代後半には欧米では
アランセーターは一般的に認知される
ものになっていたそうです。
"@irishhandcrafts: @IrishCultural Steve McQueen in an Aran Sweater....he wears it well! pic.twitter.com/ICw8diTaun" #ireland
— Irish Cultural (@IrishCultural) 2013年10月7日
1968年スティーブ・マックィーンが『華麗なる賭け』で着ていたアランセーター
めっちゃ渋い!
日本でのアランセーター
日本では本家が入ってくる前に
アランセーターを見た
ヴァン・ヂャケットの石津謙介氏が
メンズ・クラブでフィッシャーマンセーター
として紹介して、
1960年代後半から1970年代に
人気になったそうです。
1975年発行の編み物の本にはアランセーターと
はっきり書いてありました😄
パドレイグさんは1970年代から
日本をはじめ世界中にアランセーターを紹介。
日本ではパドレイグさんによって、
この流行ってるセーターは
アイルランドアラン諸島のハンドニットが
起源のものだと認識
されるようになっていったそうです(^∀^)
アランセーターのリアル
アランセーターは家ごとに家紋のように
違う模様で編まれていて、
漁師が海難事故で亡くなった時に
着ているセーターでどこの家の人か分かる
6世紀ごろからアランセーターは編まれていた
アランの島では6世紀頃の遺跡がゴロゴロありました!そのすぐ近くに普通の民家がある。
など色々「伝説」がありますが
実際のところ、
歴史としては100年くらいで
漁師はこんなに装飾的な編み込みのものは
漁には着ていないようです😅
事実まとめ
①アランセーターを一番最初に編んだのは
マーガレット・ディレインさんという女性。
1920年頃のこと。
②アランセーターは主に子供の晴れ着として編まれていたようです。
③表編みの模様は針に引っかかるから漁に向かない。
漁で実際に着るのはガンジーセーターのような裏編みのもの。
1935年の映画『アラン』より漁の風景
一番のニッターさんの言葉
最後はとても心に残った
アラン諸島の1番のニッターさんの
言葉をご紹介します。
モーリン・ニ・ドゥンネルさん
1943年、亡くなった母に代わり
彼女は9歳の時に
2つ上の兄の教会儀式のための
アランセーターを自力で編みました。
そして1981年には、教会から依頼され
ローマ法王ヨハネパウロ2世に献上される
セーターを編みました。
そんな彼女に著者の野沢さんは
「早く編むことがいいセーターを編む秘訣ですか?」
と尋ねました。
彼女の答えはこうでした。
いいセーターを編むことと、速さは全く別のことです。ゆっくりだっていいセーターは編めますし、反対に速くてもそうでもないセーターもあります。
「それでは、たくさんの数を編んでいる人のセーターの方がいいのでしょうか?」
それも違います。どうしたらもっといいセーターに仕上がるか、どうやったらもっと複雑な柄が編めるか、この柄とこの柄を組み合わせるにはどうしたら良いか、といつも興味を持って編んでいることがずっと大切なのです。
「ローマ法王に献上するセーターをあなたが編んだということは、あなたはアラン諸島で一番優れたニッターだと考えて良いですか?」
と尋ねると、少しのやり取りの後
アランセーターを編むのに最も大事なのはテクニックではありません。一番大切なこと、それは心なのです。着てくれる人に喜んでもらいたいと願い、どれだけ心を込めて編んでいるか、という気持ちです。その心ということであれば、私は誰よりもそれに誇りを持っています。
このセーターは私が編んでいるのではありません。神様が私に編ませてくださっているのです。アランセーターは神様の贈り物なのです。
彼女がテーブルに置いていた
編みかけのセーターを見たら
力強さに溢れ、輝きに満ちていて
野沢さんはため息が漏れたそうです。
私もこの章を読んで、ため息が出ました😮💨
なんだか今まで瑣末なことを気にして
いたような気がしました(∩∀`*)
この本を読んで
アランセーターの歴史を知ることは
とっても楽しいことでした(^∀^)
でも、一番心に残ったのは
モーリンさんの言葉でした。
編み物をする時、上手い下手とか
早い遅いではなくて
どれだけ心をこめているか
編み物を楽しんでいるかを
大事にしていきたいと思います☺️
そして、
当たり前のように編み物をしているけど
何一つ当たり前のことなんてなくて
たくさんの人の知識や経験の集大成があり、
羊さんや毛糸屋さんや
技術書を作ってくれる人
そして母と祖母
SNSやブログを通して一緒に編み物を
楽しんでいるたくさんの人たち
ありとあらゆる人ともののおかげで
私はこうして日々編み物ができているんだなと
心から感謝して編んでいこうと思います🧶
本の中には、もっと詳しく掘り下げた
歴史の紹介や、たくさんのエピソードが
語られています!
もしご興味のある方は、
ぜひ読んでみてください😆
日本ヴォーグ社から出ている
この本も冒頭にアランセーターの
歴史について語られていて
そちらも野沢さんが書かれたものになっています!
ぎゅっと濃縮した説明なので
この本もおすすめです💁♀️!
長いブログを最後までお読みいただきありがとうございました!!
また面白い本を読んだらご紹介します〜♪
ありがとうございました!
CD‐ROM版はこちらに注文方法があります♪